企業インタビュー
命を守る「感動品質」を追求し、水辺の安全と未来を創造するということ

1930年に創業、2025年には90周年を迎える高階救命器具株式会社は、創業以来、水辺の「安全」と「環境保全」を使命として掲げる企業です。特に、レジャー部門で展開するブランド「ブルーストーム」は、その高い品質で釣り人をはじめ多くの水辺の活動を支えています。
今回は、同社取締役である村上氏と、マーケティング部主任の倉田氏に、同社の理念、仕事へのこだわり、そして業界への熱い思いを伺いました。
水辺の安全と環境保全を使命に
高階救命器具株式会社の事業と理念

村上: 私たちは「高階スピリッツ」と呼んでいるのですが「私たちは水のあるところの安全と、その環境保全を通じて社会に貢献する製品づくりに邁進することを誓います」というのが、私たちの根幹です。少し前までは毎朝これを唱和して業務を始めていたほどです。
村上: 事業は大きく二つあります。一つは救命器具、特に船舶用の救命器具を作ることからスタートしました。もう一つが環境保全の部分で、オイルフェンスやシルトフェンスなど、水辺の工事の際に汚れを抑える資材を製造・販売しています。
全員で追求する「感動品質」
村上: 掲げている目標として、社長が提唱しているのは「感動品質は高階のブランド力である」ということです。製品の品質やサービスの品質でお客様に感動を与えたい。製品開発(イノベーション)を通じてお客様にサプライズや感動を与えたい。そして、環境を考えて水辺を守る行動や製品開発を通じて社会に感動を与えたい。さらに、働き方の部分でもリードする企業となって、社員みんなでお互いに感動を与えられるような会社にしよう、と。この「感動品質」という考えが社員にも響いています。
最優先事項としての「品質」への妥協なき追求
村上: やはり、私たちの仕事は人の命を部分的にでもお預かりする仕事になりますので、品質管理という部分に関しては特に重視をしています。 社内の会議でも「うちの会社で一番大切なのは品質だ」と常に話しています。とにかく人の命、人の安全を守るために、品質に妥協のない製品を作ろう、関わる仕事をしよう、ということが、仕事観で最も大事なことだと考えています。
村上: そのために…ではないかもしれませんが、会社として、おそらく他の会社さんに比べると、自分で考えて自分で決定する部分がすごく多いと思います。一から十まで「あれしなさい、これしなさい」という指示はかなり少ない会社です。 その分、主体性はかなり重視する会社です。一方で、目標管理や計画進捗管理には力を入れており、年間目標を各部門、個人、会社でしっかり設定して進めています。
村上: 品質に妥協がない=自信を持って提供できると考えたとき、この仕事は家族に自慢できる仕事だと思います。やっぱり人の命を守るという使命感は社員一同、絶対ありますので。実際、弊社が関わったアイテムがテレビを見ていてもよく出てくるんですよ。家族にあれは自分が作っているんだぞと言えるのは自信になりますね。
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好きなことを深化させ、自信を持って発信する喜び
村上: 彼ら(若手社員)を見て思うのは、うちに入ってもっと釣り好きになった、ということです。もっと入り込んで、ずっと好きでいたいから。本当に大好きだったのに、何かの理由で釣りから離れてしまった人も、自分の好きなことをもっと好きに、もっと長くできるというのは、この業界の魅力です。特に高階ブルーストームは、その環境が整っていると思います。
倉田:僕も入るまではバス釣りしか経験がなかったのですが、村上にシーバスやアジングなど海の釣りを教えてもらいました。突然誘われて翌日にはヒラスズキを釣りに、磯に行ったりもしましたね。
村上: 嫌だと最悪だと思いますけど(笑)。
倉田: そういうのが好きな人であれば、かなりマッチすると思います。しかも、買えば何万円とするギアが自社にすべて揃っているんです。ヒラスズキを始めた日にドライスーツを着るなんて普通はないと思いますが、うちだとそれが普通です。これは良いサイクルになっていて、Bluestormのギアを実際に着て釣りに行って、そこで気づいたことや、「これ発信したいな」ということが生まれるんです。それを広報や営業のトークに使うことで、実務も生きてくる。自分の身体で経験しないと難しい部分もありますね。言葉の力強さに絶対影響が出てきます。
村上: あと、ちょっと体が鍛えられます(笑)。強くなりますね。
スキルアップへの取り組み 実践重視の研修と知識の共有
村上: 資格取得については、社員から意見が出た際はバックアップできる環境です。実際に、現場寄りのスタッフは船舶免許やトラックの免許、クレーンの免許などを取得しています。
村上: 月に一度、土曜日の時間を使って研修は行っていますが、それ以上に弊社が大事にしているのは、業務の中に研修を入れ込んでしまう形です。
村上: 一番大事な品質管理に関して、国土交通省の型式承認の検査検定業務が年に2回ほどあります。その業務には、部署に関係なく社員が参加し、業務をやりながら、どんなことをやっているかを学ぶ機会があります。
倉田: 私も行ってますね。マーケティングの部署ですが、ライフジャケットの検定の現場に一緒に参加しています。そこで培った知識や経験は、当然、発信する上でのコアになっています。
村上: あとは、釣りは結構教えてもらいやすい環境だと思います。嫌がらないスタッフがいれば、社員同士で釣りに行く機会も多いですね。
「好き」と「コミュニケーション能力」

村上: 「好き」という気持ちは大事だと思います。魚釣りが好きでもいい、物作りが好きでもいい、発信が好きでもいい。そういうものを持っている子は活躍できますし、長く続きます。
村上: スキルや知識は後からどうにでもなりますが、モチベーションのある子は人が集まり、情報が集まり、人脈が増え、主体性が生まれます。モチベーションが外から見えないと、悩んでいる部分が分からず、助言も難しくなってしまいます。
倉田: 私もスキルと知識は後から業務を通してついていくものだと思っています。それよりも、コミュニケーション能力は、どの部署にいてもかなり大事だと年々感じています。 広報業務は端末を通してできるイメージがありますが、実際は製品を使う人、テスターさんといった人たちと実際に喋って盛り上がれるかどうかが大事です。そこで盛り上がった熱量が、結局製品やコンテンツに宿り、ユーザーさんに「使ってみたいな」「あのブランド、いいな」と伝わっていくと思うからです。
倉田: 結局、仕事は誰かの問題を解決する作業です。何が問題なのかを引き出すにも、それを解決するにも、コミュニケーションを伴わないといけない。釣りやブルーストームに関わらず、それは根幹的なところですね。 せっかくやるなら、好きでテンションを上げて取り組んでほしいので、モチベーションや使命感を持ってやれることは重要じゃないでしょうか。
ユーザーと共に環境と業界を盛り上げる
今後の釣り業界について思うこと

村上: 業界としてやらなければならないと思っているのは、こちら側も商品を提供するだけでなく、ユーザーさんと一緒になっていつまでも釣りができる環境を作っていくことです。 釣りは、日本人だとかなりの割合で体験したことがあるくらい身近な趣味。しかし、現状は釣り場が減ってしまったり、魚が減ってしまったりという問題も出てきていますね。やはりユーザーさんに任せる、売りっぱなしにするのではなく、一緒になって釣り場や環境を守っていく、そして業界を盛り上げることが必要だと感じています。
倉田: 私は20代などの若い人にもっとこの業界に入ってきてほしいという思いがあります。これまでの業界との関わり方というと、テスターになってブランドとお付き合いして発信する、という形が代表的でしたが、私のように特に釣りが上手いという訳ではないものの、やっぱり釣りが好きだから釣り業界に関わりたいという理由で仕事にすることもできます。私の場合はそれでもっと釣りが好きになったし、業界のいろんな方と関わり、話をすることで釣りがウマくなったとも感じています。
釣り業界との関わり方はどんどん多様化してきています。仕事として関わっていくというのも選択肢の一つになってきているんじゃないでしょうか。
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