企業インタビュー
株式会社ハリミツ・マグバイトが見据える“釣り”の世界の未来像

創業75年の歴史を持つ老舗の釣具メーカーでありながら、革新的なルアーブランド「マグバイト」を展開し、常に新しい挑戦を続けている株式会社ハリミツ。今回は、同社のフィッシング事業部を牽引する岸名氏と、マグバイト立ち上げメンバーである村上ヨシキ氏に、会社の目標、仕事観、そして今後の釣り業界の展望について深く伺いました。
創業75年の老舗が挑む革新
株式会社ハリミツという会社、またブランドについて

岸名: ハリミツは創業75年の、いわゆる仕掛けから始まった釣具メーカーですが、その中で、ルアーブランドを立ち上げようと2012年からスタートしたのが「マグバイト」です。
岸名: 当時、社内で展開していた製品とは違うジャンルの部門を作りたいという、抜本的な「やりたい」という原動力からスタートしました。カテゴリー違いの製品を展開することで、会社としてもジャンルをまたいで事業を広げていけるという見通しのもとで始めたブランドです。
岸名: 元々ハリミツは、会社の立地や歴史的にも針関係に強みがあったため、最初の製品はライトゲームのジグヘッドから開発を始めました。これは「針」をベースに考えた結果です。現在は、ライトゲームに限らず、他のジャンルのアイテムも展開しながらブランドを構築しています。
村上ヨシキ: マグバイトは、2012年にブランドをスタートし、2019年に分社したんですよね。
岸名: そうです、2012年ブランドスタートで、2019年に分社しました。そして2025年の1月に再合併・統合した形になり、今はハリミツの中の1つの部門として運営しています。ハリミツという会社が傘となり、その中に山波商店、墨族、マグバイトといったブランドが部門ごとに存在し、それぞれが独立して運営しているイメージです。
釣り人に「楽しさ」を、働く仲間に「ワクワク」を
株式会社ハリミツが掲げる目標

岸名: 対外的な目標と、社内で一緒に働く仲間の目標みたいのがありまして。対外的には、やはり釣り人の皆さんに楽しんでもらえる商品を、いかにオリジナリティのあるアイテムとして提供していけるかというところ。自分たちも楽しみながら、お客さんも楽しんでいただけるような製品作りを目標にしています。
また社内的な目標でいうと、営業、事務、出荷、すべて携わってくれるスタッフ自身が、楽しみながらワクワクして働けるような社内の環境作りといいますか、そういうことに取り組んでいます。
重きを置いている仕事観
岸名: 理想としては、ハリミツという会社をベースに、各々がやりたいことを具現化していくことです。「働かされている」環境よりは、「これおもしろいな」と思って取り組むことの方が、圧倒的にパフォーマンスは上がると僕は考えているので。
岸名: 割とマニュアルに沿ってというよりは、自発的に取り組んで働いてもらえる方がいいなと思っています。例えば、服装についても、最低限の社会人としての規律を越えていなければ、シャツのイン/アウトといった細かい指示はありません。個々で個性が出せて、自分で楽しく仕事を作っていけるような体制が理想かなと思って運営しています。
釣り業界のキャリア相談はこちら「好き」を仕事に落とし込む熱意
株式会社ハリミツ→釣り業界で輝ける人物像

岸名: そうですね、会社で一番輝いてるのは、多分僕なんですけど(笑)。例えば自分を例に出すと、僕はデザインが好きで、趣味で始めていたことが仕事になりました。パッケージのデザインもそうですが、ブランドをデザインするということも、好きなことを仕事として実現できた例です。
岸名: 会社は、自分が「こうありたい」と思う方向へ、自ら寄せていけるという実感があります。例えば村上のように釣りが好きで、ものづくりに強いこだわりを持っている人間が、その個性を仕事に落とし込んで発揮していける、というところが、この会社で一番輝ける部分だと思います。
岸名: ブランド運営は、作品を作るアーティストに近いような感覚だと考えています。自分の持っているもの、スキル、考え方を積極的に仕事に落とし込んで働いてもらうのが、最も望ましいことかなと。
村上ヨシキ: 岸名からあったように、各々が自分で、この仕事に対してどう進めるか、どう切り開いていくかを自分で考えながらやっていく感じは、「完全に指示されてレールの上を走っていく仕事」とはまた違った面白さがあります。
村上ヨシキ: また、良くも悪くも人数が少ない会社なので、本当にいろんな種類の仕事をやる機会が多いです。大企業で1つの部署で同じ仕事ばかりやるのではなく、本当にいろんなことが身につくので、自分のスキルアップには繋がっていると感じます。
知識よりも「好奇心」
釣り業界で働く上で必要な知識やスキル

岸名: もうこれは、昔からずっと変わってないんですけど、一点張りですね。もう好奇心です。僕自身、釣りの知識もスキルもゼロでこの業界に入っていますから、興味を持って「これ面白いな」とか「この話聞いてみたいな」と思えることが、何よりも大きな原動力になることはわかっていますので。
岸名: 釣りの知識がどこまで必要か、ものづくりの知識がどこまで必要かと言われると、そういったものは働き始めてからでもすぐに身につくと思うんで。一番持っておいて欲しいのは、本当に好奇心だと思います。やっぱり趣味性の高い業界で働こうと思えば、人と違うものとか、さらにいいものを作らなければとか、そういった目がかなり必要になってくるので、やっぱり一番大事なのは好奇心かなと思います。
村上ヨシキ: 僕も似たような感じで。結構釣り業界は、釣りを完璧に知っとかないとみたいな偏見というか、構えちゃう人も多いと思うんですけど、僕もこのハリミツで働いていますけど、仕掛けなんて、なんならいまだによく分かっていない部分もあるぐらいなんで。でも、それも好奇心で乗り切っていける、乗り切っているという感じです。
釣り業界のキャリア相談はこちら今後の釣り業界について思うこと
“コミュニティ”が鍵に

岸名: 個人的には、釣りはなくならないと思っていて。でも、僕がこの業界入って今17年目で、本当にループしてるなっていうのは感じています。
岸名: リモートで全てが動くというよりも、やはりコミュニティや昔ながらの人との繋がりといった発信要素に、現代のプロモーションが組み合わさっていくような形に、どんどんなっていってるんじゃないかと思うところがあります。
岸名: 僕らブランドを運営しているスタッフが、一番その現場に行って、例えば釣りをして、話をしてっていうところから“渦巻いていく”ようなイメージ感なんで。やっぱりブランドに携わる人間たちが、一番楽しんだり、行動を起こしたりしていくところに戻っていくんじゃないかなと感じてます。あとは僕らの展望として、やっぱり海外市場にもしっかり販売していきたいですし。
村上ヨシキ: 今出てない話で言うと、僕の周りなどの若い世代を見ていると、釣り離れを強く感じます。みんな興味はあるのに、「ややこしそう」という理由で自発的に始められない層が非常に多く眠っている。こういう人たちをどう呼び込んでいけるかが、今後の大きな課題になると感じています。
釣具ブランドで働くということ
岸名: 釣り業界には世間一般で言う「良い会社」とされるフォーマットはもちろんあります。ただ、僕らがやっているのはブランド運営であり、その定型の働き方だけでは賄えない部分があるのも正直なところです。そのため、「これめちゃくちゃおもしろい!」と好奇心が強すぎるが故に、ついついやりすぎちゃうような…規格外の熱意を持った人材が欲しいと思っています。
岸名: だからこそ、今ウチは営業開発のスタッフだけは半フレックス制を導入しています。「やる時はやる、やらない時は抜く」という働き方で、ブランド運営にアジャストさせるイメージですね。
村上ヨシキ: 半フレックス制は、釣りという仕事の性質上、時間概念に縛られない部分があるため、非常にやりやすいです。動く時思いきり動いて、その分しっかり休むという調整ができますしね。
村上ヨシキ: あと個人的な意見ですが、釣りの仕事とはいえ、釣りのことだけやるわけではないんですよ。ものづくり、デザイン、動画、プロモーションなど、釣りに付随するあらゆることに興味関心がある人は、どんな会社でも重宝されるんじゃないですかね。
周辺領域へのアンテナと「半分趣味」の感覚
釣り業界を今後目指す方へメッセージ

村上ヨシキ: 釣りに興味があったり、釣りが好きな人がこの仕事にたどり着くと思いますが、やり方次第、動き方次第で、仕事で自分のやりたい釣りをしながら、仕事も作りながら、「半分趣味、半分仕事」のような感覚で動ける瞬間もあります。
村上ヨシキ: そうなれるように、釣りに付随する様々なこと(ものづくり、発信、広告関係など)にもアンテナを張って、この業界を目指してもらえると、自分の動きやすさやポジションを築いていけるんじゃないかなと思います。
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